上杉家家訓




心に物なき時は、心広く身体泰なり
自分を見失わせるような物がないときは、心広々として体はゆったりする。



心に我儘なき時は、愛敬失わず
気ままに振舞う事がない時は、全てを愛し、敬うことを忘れない。



心に欲なき時は、義理を行う
むさぼり惜しむような事がない時は、如何なる人にも思いやりを忘れない。



心に私なき時は、疑うことなし
ひとりよがりの心がない時は、如何なる物事に対しても疑うことはない。



心に驕りなき時は、人を敬う
偉ぶるような心がない時は、人の真実の命をおのずから尊んでゆく。



心に誤りなき時は、人を畏れず
やましい心がない時は、人を畏れることがない。



心に邪見なき時は、人を育つ
かたよった見かた、考え方がない時は、人を立派に育ててゆく。



心に貪りなき時は、人に諂うことなし
ガツガツした心がない時は、人におべっかを使わない。



心に怒りなき時は、言葉和かなり
心乱した怒りがない時は、言葉やわらかく、諭してゆく。



心に堪忍ある時は、事を調う
何事にも耐え忍ぼうと努力する時は、もの事を調える。



心に曇りなき時は、心静かなり
晴ればれとした清々しさがある時は、心が穏やかである。



心に勇ある時は、悔やむことなし
困難を乗り越えようとする勇気がある時は、如何なる事にあってもくよくよしない。



心賤しからざるは、願好まず
いやしくない時は、無理な願いを好まず、耐え忍び、努力して掴むことが出来る。



心に孝行ある時は、忠節厚し
真に尽くそうと心がける時は、おのずから仕えようとする気持ちが深い。



心に自慢なき時は、人の善を知り
自惚れがない時は、人の奥ゆかしき素晴らしさを知ることが出来る。



心に迷いなき時は、人を咎めず
しっかりした信念がある時は、人を怪しみ、責めない。




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